冬のはじめの静かな午後に

 

 冬のはじめの静かな午後に
 冷えた空気と 暖かい光を
 沙漠の心に与えよう
 風に揺れる木々の葉音を聴きながら

 府道沿いの小さな喫茶店
 さまざまな人 さまざな色
 自分の昔を重ねあわせる
 あのころの僕 あのころの気持ち
 覚えている景色 思い出せない日々
 今 感じるのは
 苦くも幸福な コーヒーの味

 時間は無表情で無愛想
 だけど僕は 彼に感謝する
 彼は僕に何もくれない
 だけど僕は 彼に感謝する
 彼がいるから 僕はいるんだ
 時間さん ありがとう

 冬のはじめの静かな午後に
 冷えた空気と 暖かい光を
 草原の心に与えよう
 今 僕にあるのは
 手のひらのぬくもりと
 君の笑顔