MILK & BITTER

 

 凍みるような寒さの日に 自販機で缶コーヒーを買いました
 肺が震える大気の中で 僕はそのチープな安らぎを飲み干しました
 風が吹いて 上着の前を閉じました
 春だったら心地よいはずの そよ風でした
 口に残った 薄い味を噛みしめました
 
MILK & BITTER

 日本だけじゃなく 僕の財布と心も 寒くなりつつあります
 渇いてひび割れた唇を 
120円の潤いでしめらせます
 こんなにも簡単に あっけなく僕は 安心感を得るんです
 その瞬間だけは 少しあたたかくなります
 (財布は寒くなるけどね)

 僕はこんな風な安らぎをあげたいんです
 自分をなおざりにして 仲間を助けるあなたに
 自分をなおざりにして 家族を愛するあなたに
 ここに来れば窮屈さも忘れて ほっと一息つける
 「甘さひかえめ 
MILK & BITTER
 そんな安らぎを

 弱くて 小さくて ひとりがこわくて 人を欲して
 だけどそれを恥じなくていいんです
 最後にひとりで歩く時まで どこかに なにかに
 誰かに安らぎを 求めていいんです

 失うことをおそれて 愛することに怯えるあなたに
 過ぎ去ることをおそれて 立ち止まったままのあなたに
 同じ場所で 同じ時間を ゆったりと過ごせる

 微笑みとともに

 MILK & BITTER

 そんな安らぎを